電気やガス、水道を引き込むことのできるトレーラーハウスは、住居用としても注目されています。一般の住宅よりは狭いですが、設備を整えれば快適に暮らすことが可能です。とはいえ、トレーラーハウスを住居用として使用するためには、いくつかの注意点もあります。
当記事では、トレーラーハウスを住居にするメリットやデメリットとともに、注意点を詳しく解説していきます。トレーラーハウスの住み心地についても紹介していきますので、トレーラーハウスの導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
Contents
トレーラーハウスを住居用に使う際の注意点
トレーラーハウスは基本的には「車両」となるため、住居として使用するにはいくつかの注意が必要です。まずは、トレーラーハウスを住居用に使う際の注意点を解説していきます。
水回りの設備が必要
まずは「水回りの設備が必要」になります。もともとトレーラーハウスそのものは、何もない箱状の建造物です。その建造物に、使用用途に応じて必要な設備を入れていき自分のトレーラーハウスを作り上げていきます。
事務所やワーキングスペースとしての使用であれば、自宅の水回りを使ってトレーラーハウスの中には水回りの設備を導入しないという方法もあるでしょう。しかしながら、住居として使用する場合は、キッチンやトイレ、バスルームといった水回りの設備が必要不可欠です。
サイズ制限がある
次の注意点は「サイズ制限がある」という点です。一人暮らしや夫婦二人程度の人数であればコンパクトサイズのトレーラーハウスでも問題ありませんが、4人や5人といった大人数で生活するためにはある程度の居住スペースが必要になるでしょう。
保安基準第2条で定められた「車幅2500mm、車高3800mm、車長12000mm」を超えたサイズであっても、特殊車両通行許可を取得すればトレーラーハウスとして認められることになっています。
しかしながら、道幅の狭い日本においては、大きすぎるトレーラーハウスの搬入はできません。設置予定場所まで輸送することができないので、どうしても住居としては限られたスペースのトレーラーハウスしか導入できないというケースも少なくないでしょう。
自治体によって規定が異なる
「自治体によって規定が異なる」という点にも注意が必要です。アメリカでは一般に普及しているトレーラーハウスですが、日本ではまだまだ普及し始めたばかりです。そのため、トレーラーハウスに関する法なども、しっかり定まっていないのが現状です。
自治体によって、トレーラーハウスの規定は異なっているため注意しましょう。場所によってはトレーラーハウスを設置したにもかかわらず、撤去を命じられたというケースも発生しています。せっかく購入しても無駄になってしまいますので、事前に自治体に確認してから購入するようにしましょう。
トレーラーハウスを住居にするメリット
トレーラーハウスを住居にするメリットとしては下記が挙げられます。
- • 住居としては格安
- • 税金面でお得
- • 全国各地に移動が可能
ここからは、各メリットを詳しくみていきましょう。
住居としては格安
最初のメリットは「住居としては格安」だという点です。一般の家屋やマンションを住居として購入するのであれば、安くても1,000万円はかかってしまうでしょう。中古物件を購入し、リフォームするとなるとさらに高額になります。
その点、トレーラーハウスであれば、さまざまなところにこだわっても1,000万円程度で購入できるでしょう。格安の物件を購入するのとこだわりを詰め込んだトレーラーハウスを購入するのを比較・検討して、同じ1,000万円であればこだわってトレーラーハウスを購入したいと思うのも無理はありません。
税金面でお得
次のメリットは「税金面でお得」という点です。トレーラーハウスは住居として使用できますが、タイヤが付いており移動させることができるため「車両扱い」となります。そのため、一般の住宅のような「固定資産税」や「不動産取得税」はかかりません。
ただし、「車両扱い」となるには条件があります。その条件が「随時かつ任意に移動できる状態で設置してある」ということです。つまり、トレーラーハウスが地面に固定されていると、車両扱いにはなりません。また、電気やガス、水道といったライフラインも簡単に着脱できるようにしておく必要があります。
全国各地に移動が可能
最後は「全国各地に移動が可能」だというメリットです。トレーラーハウスはけん引車でけん引することで、どこへでも移動させることができます。通常の住宅であれば転居する際に一度住まいを引き払い、新しい土地でまた住まいを探さなければなりません。
引っ越し業者を手配する手間や、新しく家具を揃えるお金も必要になるでしょう。その点、トレーラーハウスであれば住み慣れた住居を、そのままの状態で移動させることが可能です。輸送費用はかかりますが、牽引免許があれば自分でけん引して移動させることもできます。
トレーラーハウスを住居にするデメリット
さまざまなメリットがあるトレーラーハウスですが、下記のようなデメリットもあります。
- • 一般住宅よりは耐用年数が短い
- • 入口が高い
- • 移動に費用がかかる
ここからは、トレーラーハウスを住居として使用するデメリットについてもみていきましょう。
一般住宅よりは耐用年数が短い
最初のデメリットは「一般住宅よりは耐用年数が短い」という点です。通常の木造住宅であれば、30年は問題なく使用できるといわれています。しかし、トレーラーハウスの場合は10~15年ほどが通常の耐用年数です。メンテナンスによっては20年ほど使用できることもありますが、それでも一般の住宅よりも耐用年数は短くなります。
一般の住宅のように基礎工事などをしっかり行っているわけではないので、耐用年数が短くなってしまうのも仕方ないことでしょう。この先、何年使用する予定なのかを考えて、トレーラーハウスの購入を決めるようにしてください。
入口が高い
「入口が高い」という点もデメリットのひとつです。タイヤが付いたシャーシという土台に設置されているため、通常の住宅や車両よりも入り口部分が高くなります。階段やウッドデッキを設置して出入りするのが一般的ですが、フラットな出入口よりは不便を感じやすいでしょう。
さらに、すぐに移動させられる状態にしておかなければならないので、出入口に設置する階段やウッドデッキは溶接させることができません。出入口が不安定だと、余計にストレスを感じやすくなります。
移動に費用がかかる
最後は「移動に費用がかかる」というデメリットが挙げられます。先述したように、トレーラーハウスをけん引するためには「牽引免許」が必要です。牽引免許を持っていない場合は、業者に頼んで輸送してもらうことになるでしょう。
トレーラーハウスのサイズや移動距離によっても輸送費用は異なりますが、高い場合には50万円近くかかることもあります。さらに、輸送先に設置するための費用も数十万円かかるでしょう。全国各地に移動できるとはいえ、費用はかかるので引っ越し費用とどちらが安いか比較するようにしてください。
トレーラーハウスの住み心地は?
住居として使用できるとはいえ、住み心地が悪いと長期で済み続けることができません。ここからは、トレーラーハウスの住み心地について、断熱性・防音性・広さ・通気性の各方面から解説していきます。
断熱性
まずは「断熱性」です。トレーラーハウスは「壁が薄そう」「隙間風が入りそう」といったイメージをお持ちの方も少なくありません。しかし、多くのトレーラーハウスは高気密で、断熱性に優れているため夏は涼しく冬は暖かく暮らすことができます。
高気密状態にするためには、防湿シートや気密テープを使って隙間がないように設計する必要があります。また、外壁と内壁の間に断熱材を入れたり窓の断熱性を高めたりすることで、断熱効果が期待できるでしょう。
防音性
次は「防音性」についてです。雨風の音や交通音などがうるさいと、ゆっくりくつろぐことができません。一般的には断熱性に優れた素材を使っているため、防音性の高さもトレーラーハウスの特徴になります。トレーラーハウスはその防音性の高さから、音楽教室やスタジオにも使われることがあるほどです。
木造と鉄骨の2種類がありますが、防音性を高めるためには鉄骨のトレーラーハウスがおすすめです。さらに、壁を厚くしたり防音シートを使用したりすることで、防音性を高めることもできるでしょう。
広さ・間取り
「広さ・間取り」は一般住宅に比べると、不自由に感じる面も多くなります。トレーラーハウスは2階建てにすることができません。そのため、どうしてもスペースが限られてしまうため、大人数で生活する空間としては狭く感じてしまうでしょう。
しかしながら、家具の配置やトレーラーハウスの設備によっては、小さなスペースでも快適に暮らすことができるはずです。また、オプションでロフトを付けることで、室内の空間を有効活用することができます。
通気性
最後は「通気性」についてみていきましょう。断熱性が高い分、トレーラーハウスそのものの通気性はそれほど良くはありません。しかし、窓を多めに設置することで、通気性を高めることができます。窓の配置は、風が通りやすいようにすることが大切です。
さらに、換気扇を付けると室内の湿気を逃すことができるでしょう。トレーラーハウス内の通気性が悪いと、室内にカビが発生しやすくなりますし臭いがこもる原因にもなります。窓や換気扇の位置に気を付けて、トレーラーハウスの通気性を高めるようにしましょう。
まとめ
トレーラーハウスを住居用にすることのメリットやデメリットを解説してきました。トレーラーハウスは電気やガス、水道を引き込むことで、一般の住宅と同じように快適に暮らすことができます。税金面でもお得なので、コストを抑えて生活できるでしょう。
しかしながら、トレーラーハウスを住居用にすることにはいくつかのデメリットもあります。マイホームを購入するか、トレーラーハウスを購入するかで迷っている方は、メリットとデメリットをよく比較したうえで購入を決めるようにしましょう。