特に2000年代に入ってからは、フードトラックや移動式販売といったキーワードを耳にする機会が増えきましたし、ランチ時間帯のオフィス街はもちろん、フェスやイベントなどで移動販売式の飲食店が多く出店されている様子を見る事も少なくありません。
ここでは、そんな飲食の移動式販売でトレーラーハウスを使いたい方向けの開業のポイントやメリット・デメリットについて紹介していきます。
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トレーラーハウス飲食店
海外を中心に、トレーラーハウスや改装した車両で運営する移動式の飲食店、いわゆるフードトラックが人気を博しています。しかし、その概念は日本でもじわじわと浸透し始め、フェスやイベント会場、公園などでその姿を見かける機会が増えてきました。
トレーラーハウス飲食店の特徴
一言で表すなら、トレーラーハウスでの飲食店経営とは、「移動可能なレストラン」の経営と言えるでしょう。「レストラン」と表現したのは、トレーラーハウスには様々なサイズや活用方法があるためで、これにはテイクアウト専門も含まれますし、シーンによっては店内飲食スペースを設けたものも含まれます。
トレーラーハウスで飲食店を経営するからこそ期待できるいくつかの特徴を紹介します。
移動性
トレーラーハウスでの飲食店経営は、通常の飲食店とは一線を画す要素が多々あります。その一つが、トレーラーハウスの「移動性」です。トレーラーハウスは車両の上に設置された移動可能な施設であり、営業地域を選ばないという大きな特長を持っています。これにより、一定の場所に店舗を構える従来型の飲食店とは異なり、イベントや季節、または需要のある地域に店舗を移動させることが可能です。非常に順応性の高い設備と言えるでしょう。
投資設備
また別の特徴とも言えるのが設備投資です。トレーラーハウスの設備は基本的に一度設置すれば、それを利用して様々な料理を提供することが可能です。軽トラックを使ったフードトラックなどと違い、サイズ的な制限もなく、車両に設置する設備は選択肢が多いため、目的に合わせて、将来性も考えながら求める設備を無駄なく導入することができる点がポイントです。
始めから順応性の高い設備を導入しておくことで、料理の種類を変えるために新たな設備投資をする必要がなく、長期的に見ても運営コストを抑えることが可能となるでしょう。
利便性
もちろんサイズは自由に選択できますが、トレーラーハウスの大きな特徴とも言えるのがそのコンパクトさからくる利便性です。トレーラーハウスを使った店舗は、小さなスペースに全てを凝縮した形となるので運営する上での融通が効きます。また、限られたスペース内で効率よく働くための知恵が生まれ、その結果として独自のサービスやメニューが生まれることもあります。
これらの要素が組み合わさることで、トレーラーハウスでの飲食店経営は、ユニークで、そして柔軟性に富んだビジネスモデルとなります。
トレーラーハウスを活用した飲食店の特徴がわかったところで、実際にここからはそのメリットやデメリットについてみていきましょう。
トレーラーハウス飲食店のメリット
トレーラーハウスを使った飲食店を経営することは、正直まだあまり馴染みもなく情報が少ないのも事実です。ですがそこには知られざる多くのメリットがあると考えられます。
移動
トレーラーハウス飲食店の特徴としても挙げましたが、トレーラーハウスを使ったフードトラック最大の魅力は、その移動性にあります。待つスタイルの飲食店とは異なり、需要のある場所に直接移動できるため、場所によるリスクを大幅に軽減できます。
初期投資の軽減
定位置にある店舗と比較して、移動式の飲食店の設立コストは一般的に低いとされています。固定式の飲食店の場合には物件を購入したり、長期リースを結んだりする必要がありますが、トレーラーハウスの場合はそういった不動産契約の手続きがないため、初期費用を大幅に抑えることができます。
独自性と創造性
トレーラーハウス飲食店は個性的で目を引く存在であり、その独自性を活かしたメニューやサービスで顧客の心をつかむことができます。軽トラを使った移動販売も馴染みがありますが、車両のラッピングなどにはある程度の制約がありますし、箱として見た時の店舗の表面積もそれほど広くありませんから、トレーラーハウスの方が外観も内装も自由が利くと言えるでしょう。また、短期間で場所を移動できるため、試行錯誤しやすく、新しいアイデアを生み出すのに適しています。
トレーラーハウス飲食店のデメリット
トレーラーハウス飲食店には多くの魅力があり、様々なメリットが期待できますが注意しておきたいデメリットがあることも事実です。しっかりと理解し、リスクを減らして活用することが大切です。
天候
トレーラーハウスだからという訳ではなく移動式飲食店全てで懸念されるリスクですが、屋外での営業が主となるために天候の影響を大きく受けるというデメリットがあります。雨天や極端な気温は営業自体が困難となり、売上に影響を及ぼす可能性があります。
許可や法規制
トレーラーハウスだからといって、運転免許を持っているだけでは飲食店経営はできません。トレーラーハウス飲食店の運営には、飲食業許可だけでなく、移動販売許可を取ることも必要です。また、駐車や営業が許される場所も限られていますから、開業を行う際にはこういった自治体ごとの制約や法規制なども確認する必要があります。
スペースの制約
もちろんサイズ感は自由に選べるのですが、店舗がトレーラーハウス一台分という狭いスペースとなるため、基本的には作業スペースが狭く、一度に提供できるメニュー数が限られる場合もあります。店内飲食型にした場合でも、収容可能な顧客数に制限が出ることは念頭に置いた上で実際にどのくらいのスペースが必要なのかを算出し、準備を進めなくてはなりません。
必要な許可と法規制
先ほど、「許可や法規制」について少し触れましたが、これについてもう少し詳しく紹介したいと思います。
トレーラーハウスで飲食店経営をおこなう場合には、一般的な飲食店と同様に様々な許可や法規制を考慮する必要があります。
飲食店営業許可
まず、飲食業を営むためには、地方自治体から「飲食店営業許可」を取得することが必須です。これは、店舗の衛生状態や施設設備が公衆衛生上の基準を満たしているかを審査するもので、飲食店としての基本的な運営資格を示します。
移動販売許可
トレーラーハウス飲食店は基本的に移動販売となるため、移動販売に関する許可も必要となります。具体的には「移動販売許可」や「路上販売許可」などがありますが、地方自治体により呼称や規定が異なる場合もあるため、具体的な内容は各地の自治体に問い合わせて確認を行う必要があります。
免許
飲食店を経営するための許可取得の他に、トレーラーハウスの運転には適切な免許が必要です。特に、トレーラーハウスのサイズによっては大型車両となる可能性があり、大型免許が必要となる場合もあるため注意が必要です。
その他にも、店舗を開設する場所によっては、商業地域や住宅地域などの地域計画法や、公園や海岸などの公有地についての規制を理解し、それらに適合した営業を行うことが求められます。加えて、駐車や営業するための場所確保も大きな課題となります。
これらの法規制や許可は、事業を開始する前にきちんと理解し、遵守することが重要となりますので、各種申請手続を行うことはもちろん、そのための費用も予算に組み込む必要があります。
コストと初期投資
トレーラーハウス飲食店を開業する際には、さまざまなコストと初期投資が必要となります。これらを把握し、適切に計画することが、事業の成功にとっては不可欠です。ここでは、トレーラーハウス飲食店を開業する際の初期費用として代表的なものを紹介します。
本体費用
一番の大きな出費となるのが、トレーラーハウス本体の購入費用です。新品のトレーラーハウスの価格は一般的に数百万円から数千万円程度となりますが、使用目的や必要な設備、サイズによって価格は大きく変動します。中古のトレーラーハウスを購入すれば初期投資を抑えることも可能ですから、予算に合わせて車両を選択しましょう。
改装費用
トレーラーハウスを飲食店として使用するためには、車両の内装を飲食店仕様に仕上げるための改装費用が必要となります。キッチン設備や冷蔵庫、テーブルや椅子など、飲食店として運営するためには多くの設備が必要となります。これらの設備投資は初期投資の一部となりますから、余裕を持った予算取りが必要となります。
諸費用
さらに、前述したように飲食店の許可を取得するための申請費用や、駐車場のレンタル費用、トレーラーハウスの移動費用としてけん引に必要な車両手配やドライバー手配、ガソリン代などのランニングコストも考慮する必要があります。
また、新規に飲食店を開業する際には、食材の仕入れや人件費、広告宣伝費なども予算に含まれます。特に開業当初は、集客の成功のためにも広告宣伝費を多めに見積もることが成功の秘訣とも言えるでしょう。
マーケティング・集客戦略
トレーラーハウス飲食店の成功は、優れたマーケティングと集客戦略に大いに依存します。イベントやフェスへの出展など、そもそも集客がある場所に出展するならばまた別のアプローチにはなりますが、基本的には一般的な飲食店と同じように、お客様に商品を知ってもらい、店舗に足を運んでもらうことが業績向上の鍵となります。
得に現代社会ではSNSを活用したマーケティング活動が重要です。インスタグラムやTwitterなどのプラットフォームを使用し、店舗の最新情報、商品の写真、お客様からの評価などを発信することで、広範囲の顧客に対して店舗の魅力を伝えることができます。
さらに、フェスやマーケット、地域イベントに参加するなど、地元の企業や団体との協力を通じて、地域に密着した営業を行うことも地域のコミュニティを広げる上で重要となるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
トレーラーハウスでの飲食店経営は、固定的な店舗経営とは異なる魅力と課題を持っています。移動性と柔軟性を活かした新しい形のビジネスモデルは、現代の市場環境に適応するうえで大きな利点となるに違いありません。しかし、その一方で、初期投資、許可申請、運営コストなど、かかる費用についてはランニングコストを含めた観点でもじっくりと計画を立てる必要があります。
トレーラーハウス飲食店は一見ハードルが高く感じられるかもしれませんが、まずはしっかりと情報を集める事や、事業として活用する場合はその事業ビジョンもしっかりと長期的な目線でイメージすることを優先し、そこにマッチする適切な計画と戦略のもとで準備を進めることで成功に近づきます。新たな飲食店ビジネスの形として、大きな可能性を秘めているトレーラーハウスを是非活用してみてくださいね。