トレーラーハウスは住居や事務所など、さまざまな用途で使用可能です。住まいとして使用するのであれば、固定資産税がかかるのではないかと不安に思う人も多いことでしょう。確かに保有している土地や住宅に住む場合、毎年固定資産税を支払わなくてはなりません。
固定資産税の金額は土地によって異なりますが、トレーラーハウスも対象となるのでしょうか。当記事では、トレーラーハウスに固定資産税や他の税金がかかるのかどうかを徹底解説していきます。トレーラーハウスの購入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
トレーラーハウスに固定資産税はかからない!
結論から言うと、トレーラーハウスに固定資産税はかかりません。なぜトレーラーハウスに固定資産税がかからないのか、詳しく解説していきます。
そもそも固定資産税とは
「固定資産税」という名前は聞いたことがあっても、実際にどのような税金なのか知らないという方も少なくありません。まずは、固定資産税の基礎知識を簡単に解説していきます。
「固定資産税」はその名の通り、「固定資産」にかかる税金のことです。土地や家屋といった固定資産を所有している人は全員、固定資産税を納税しなければなりません。固定資産税は国税ではなく地方税に分類され、国ではなく管轄の市町村へ納税します。
固定資産税の金額は土地によって異なり、固定資産税評価額を基準に算出します。この固定資産税評価額は、3年に1度見直されるため注意が必要です。
固定資産税がかからない理由
上記で説明した通り、固定資産税とは土地や家屋といった固定資産を所有している人に課される税金です。しかし、トレーラーハウスはタイヤが付いており、建築物ではなく「車両扱い」になります。そのため、トレーラーハウスは固定資産税の課税対象にはならないのです。
ただし、車両としてみとめられるためには設置基準を守って設置する必要があります。設置基準は自治体によって異なるため、詳しい基準はお住まいの自治体に確認するようにしましょう。
固定資産税がかかるケース
トレーラーハウスが車両としてみとめられない場合には、建築物として固定資産税の課税対象となります。細かな条件は自治体によって異なりますが、「いつでも移動可能な状態であること」が車両扱いとなるための絶対条件です。
たとえば、下記のような状態のトレーラーハウスは、建築物として固定資産税の課税対象となる可能性があります。
- 階段やウッドデッキが溶接されている
- 電気や水を取り込むための配線配管が取り外せない
- 道幅が狭くて設置場所から公道に出られない
- タイヤが取り外されている
- 基盤工事をしていて地面に土台が設置されている
上記のような場合は、すぐに移動させることができないため建築物扱いとなります。さらに、不動産登記をした場合も車両扱いとならず、建築物とみなされて固定資産税がかかるので注意しましょう。
トレーラーハウスを取得しても不要な税金
トレーラーハウスにかからないのは固定資産税だけではありません。不動産取得税や自動車税も不要なので、税金面ではかなりメリットがあります。不動産取得税や自動車税がかからない理由についてもみていきましょう。
不動産取得税
「不動産取得税」は、家屋などの不動産を取得した際に課税される税金です。取得時に必要となる税金であり、固定資産税のように毎年支払う必要はありません。不動産取得税は、建物の固定資産税評価額に応じて変動します。
ここで課税対象となる「不動産」とは、その名の通り動かすことのできない財産のことです。民法第86条第1項でも「土地及びその定着物は、不動産とする」と定められています。つまり、動かすことのできるトレーラーハウスは不動産とはならないため、購入時に不動産取得税を支払う必要はありません。
自動車税
固定資産税や不動産取得税がかからないとしても、「車両扱い」となることで自動車税などがかかるのではないかと思われることでしょう。確かにトレーラーハウスはタイヤが付いているため、車両とみなされます。
しかし、エンジンが付いていないため自走できません。「全長12000mm・全幅2500mm・全高3800mm」以上の大型トレーラーハウスであれば、自動車税や自動車取得税、重量税といった車両としての税金も不要です。登録ナンバーを取得すると税金がかかりますが、取得しない限りはけん引で移動しても車両としての税金はかかりません。
ただし、「全長12000mm・全幅2500mm・全高3800mm」未満のトレーラーハウスは、自由に道路を走行できる代わりに、自動車税を支払わなくてはなりません。
トレーラーハウスの減価償却期間は?
ここからは、トレーラーハウスの減価償却期間について解説していきます。そもそも減価償却とは、資産の購入費用を耐用年数に応じて経費に計上できる会計方法のことです。法人名義でトレーラーハウスを購入した場合は、減価償却を行うことで節税につながります。
トレーラーハウスは自動車の区分になるため、耐用年数は4年です。ただし、下記の条件をすべて満たす必要があります。
- 随時かつ任意に移動させることが可能であること
- 接続されたライフラインを工具なしで着脱できること
- 公道の走行が法的に認められる大きさや形態であること、もしくは許可を取得していること
公道の走行が認められるサイズは「全長12000mm・全幅2500mm・全高3800mm」以内です。このサイズは道路運送車両の保安基準で定められています。
もし、これ以上のサイズである場合は国道事務所に「基準緩和の認定申請」を行い、「特殊車両通行許可」を取得するようにしましょう。それにより「許可を取得している」ことになるので、トレーラーハウスとしての減価償却が可能です。
新品ではなく、中古で購入した場合は他の中古車同様「耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×20%)」で計算しましょう。
トレーラーハウス取得時に必要な行政上の手続き
ここからは、トレーラーハウスを購入する際に必要な行政上の手続きを解説していきます。状況によって必要な手続きが異なるので、自分のケースに合わせて手続きを行ってください。主な手続きとしては下記が挙げられます。
- 農地転用
- 住民票の申請
- 営業許可申請
「農地転用」は田んぼや畑など、土地の謄本上「農地」に指定されている区域にトレーラーハウスを置く場合に必要な手続きです。農地転用を行うことで農地にもトレーラーハウスを設置できるようになるので、市町村の農業委員会へ相談してみましょう。ただし、地盤が柔らかい場所に設置すると、トレーラーハウスが沈み込む可能性があるので注意が必要です。
トレーラーハウスには住民票を置くことも可能です。自宅としてトレーラーハウスを利用する場合には、住民票の申請を行いましょう。ポストを設置すれば、郵便物を受け取ることもできます。
飲食店や物販店、美容室やサロンとしてトレーラーハウスを利用する場合は「営業許可申請」が必要です。お近くの保健所で営業許可申請を行いましょう。
なお先述した通り、トレーラーハウスは建築物ではなく車両として扱われるため「建築確認申請」をする必要はありません。
トレーラーハウスに必要な維持費の内訳
税金面ではかなりのメリットがあるトレーラーハウスですが、税金以外の維持費は必要です。ここからは、どのような維持費がかかるのかについて解説します。
メンテナンス費用
まずは「メンテナンス費用」が挙げられます。一般的な住宅や車両と同じく、定期的にメンテナンスを行うことで長く使用することができるでしょう。耐用年数は一般的な住宅よりも短いので、メンテナンスも頻繁に行う必要があります。
主なメンテナンスとしては、防錆対策や雨漏り対策、定期的なクリーニングなどです。さらに、キッチンやトイレなど水回りの設備がある場合は、詰まり防止などのメンテナンスを業者に依頼することになります。
光熱費
次に必要となるのは「光熱費」です。トレーラーハウスには電気や水道、ガスを引き込むことができます。バスルームやキッチン、トイレを使用する際には、ライフラインを接続する必要があるでしょう。
光熱費は通常の住宅と同じく、使用した分だけの費用が発生します。トレーラーハウスのライフラインはすぐに取り外せる状態にしておかなければならないので、都市ガスではなくプロパンガスを使いましょう。
車検費用
最後は「車検費用」です。トレーラーハウスの中には「車検が付くトレーラーハウス」と「車検が付かないトレーラーハウス」の2種類があります。車検が必要なトレーラーハウスは、公道の走行が認められる「全長12000mm・全幅2500mm・全高3800mm」未満のサイズのものです。
規定のサイズ内のトレーラーハウスは、被けん引車として車検を取得する必要があります。一方で、それ以上のサイズのトレーラーハウスは「大型トレーラーハウス」となるため、車検は必要ありません。
まとめ
トレーラーハウスにかかる固定資産税やその他の税金について解説してきました。トレーラーハウスは住まいや店舗としても使用できますが、タイヤが付いているため「建築物」ではなく「車両」として扱われます。
自動車税など、車両としての税金はサイズによって変わってきますので、所有するトレーラーハウスのサイズに応じて税金を支払うようにしましょう。また、設置方法を間違ってしまうと、固定資産税も納めなければならないため事前によく確認しておくことが重要です。